豊かさ
昨日TVを見ていたら、『世界一貧しい国』のドキュメンタリーが放送されていた。
この国の人たちはテレビカメラを向けられるとひどく怒っており、その理由は、
「今まで様々な国のメディアが取材に来たが、私たちの生活は豊かになることはない。何も変わらない。それなのに、貧しい私たちを撮って儲けるなんて許せない。」
という事だった。
さらに、この国では4人に1人が5才未満で命を落とすのだそうだ。理由は、貧困から栄養失調になったり感染病にかかっても、医療費を払えないからだ。
病院の取材中に、一人の母親が赤ちゃんを連れてきていた。
赤ちゃんは治療を受けたが、命を落とした。
その横で、母親は、
「何で高いお金を払って治療したのに逝ってしまったの」
と泣き叫んでいた。
TV越しではあり、こういう印象を持ったのは私だけだったのかも知れないが、赤ちゃんが逝ってしまった事と、お金がなくなった(医療費を前払いしたため)事、どっちのほうが悲しいのか分からなかった。
最後に、13歳の少年の取材があった。
この国は良質なダイヤモンドが取れるらしく、彼も一生懸命採掘していた。休み時間も彼だけは休まない。なぜそんなに頑張るのか尋ねると、
「学校に戻りたいから。」と返事があった。
彼は数ヶ月前まで学校に通っており、成績もトップだったが、学費を払えなくなったため、学校に行けないのだそうだ。
リポーターが一番の宝物は何かと尋ねると、英語で書かれた数学の本を見せてくれた。本当は英語の本が欲しいが、買えないので数学の本で英語を勉強しているという。
彼がそこまで勉強や教育を受ける事を希望する理由は、大きな夢のためだった。
彼の夢は
「副大統領になりたいんだ。そして、子供が健康に幸せに暮らせる国にしたい。」
私は、経済的な豊かさと、精神的な豊かさは切り離すことは難しいと思っていたが、間違いだったようだ。
彼の理想を実現することが非常に難しいのは想像ができる。
だが、この国の将来は、明るいかもしれない。そう感じた。